シーズヒーターの特徴

技術資料

シーズヒーターって何か特徴的なところがあるのですか?

1.発熱線と外側パイプとの間に、電気絶縁材が封入されているので、通電中に万一ヒーターに触れても感電しません。安全に使えます。

Sheathの無い、発熱線が剥き出しのヒーターは、発熱線に触れると当然感電します。
そのような理由から、使用する場所を限定することなく、色々な場所に設置して安全に使うことが出来ます。

2.任意の形状に曲げることが出来ます。

色々なところで最適な形に曲げて使用されています。
新熱工業のヒーター曲げ製品例を図-2に示します。
実は、もっと複雑な曲げも可能ですが、製品ノウハウに抵触するため一般的な製品だけ紹介します。
新熱工業は、ヒーターを曲げることを得意としています。

(図-2)新熱工業曲げ製品の一例

3.色々な外径のヒーターを製作することができます。

新熱工業の特色の一つとして、小さい外径のヒーターの製作が可能なことがあります。
細かいことは、この後の項で紹介させていただきます。

4.電源と接続する線(新熱工業では「タンシ」と呼んでいます。)を片側からのみ引き出すこともできます。これをカートリッジヒーターと呼びます。カートリッジヒーターもシーズヒーターの仲間です。

シーズヒーターの場合、一般的に両側からタンシを引き出す構造のヒーターの呼び方としています。
なんか、紛らわしいですね・・ 
要するに、Sheathを被ったヒーターなので、カートリッジヒータもシーズヒータになるのですが、どちらも「シーズヒーター」と呼んでしまうと間違いのもとなので、片側タンシをカートリッジヒーター、両側タンシをシーズヒーターと区別して呼んでいるということです。

カートリッジは英語で「Cartridge」です。辞書で調べると「本体に容易に着脱できる交換用の小さな部品」とあります。

カートリッジヒーターは、片側にリード線があるので、金型の孔に差し込んで使用することが多く、このように呼ばれたのかもしれませんね。

下図(図-3シーズヒーター、図-5カートリッジヒーター)にその構造を示します。
図-4にシーズヒーターの電源接続例を示します。両側へ電源接続用のリード線が付きます。

(図-3)シーズヒーターのタンシ引き出し、(図-4)シーズヒーターの電源接続例、(図-5)カートリッジヒーターのタンシ引き出し

一般的には、「シーズヒーター」(両側タンシ)を使用することが多いのですが、金型の穴に差し込んで使用するなど、電源を片側で接続する必要がある場合は、「カートリッジヒーター」を選定します。
下図(図-6)に新熱工業のカートリッジヒーターの製品例を示します。

(図-6)新熱工業のカートリッジヒーターの製品例

5.新熱工業で作っているシーズヒーターの外径寸法

新熱工業では、スーパーフラットヒータという製品名で、丸くない、平べったい断面形状のヒーターも作っています。

まずは、丸い断面のヒーターから紹介します。

a.シーズヒーター(両側タンシ)

a.シーズヒーター(両側タンシ)

b.カートリッジヒータ(片側タンシ)

b.カートリッジヒータ(片側タンシ)

No. 外径
(mm)
シーズ
ヒーター
カートリッジ
ヒーター
備考
1 φ1.8 × 新熱工業で作っている最小径のヒーターです。
2 φ3.2 ×  
3 φ5.3 × 新熱工業で作っているクリーンホットというガス加熱器用のヒーターです。
4 φ6.5 新熱工業で作っているクリーンホットというガス加熱器用のヒーターです。
5 φ8.0  
6 φ9.0  
7 φ10.0  
8 φ12.0  
9 φ14.0  
10 φ15.0  
11 φ16.0  
12 φ18.0  
13 φ19.0 ×  
14 φ20.0 ×  
15 φ25.0 ×  

【記号説明】○:標準品 △:非標準品 ×:製作していません

表-1から、新熱工業では、比較的細い外径にヒーターをラインアップしていることがご理解頂けると思います。

ここで、新熱工業の特徴を表している表-1のNo.1、φ1.8mmのシーズヒーターについて少々PRをしてみたいと思います。

下記のような製品例があります。

a.コンパクトさを利用した局部的な加熱用途
下図(図-7)に色々な曲げパターン例を示します。

(図-7)

b.非常に小さいプレートヒーター
概要仕様:24V-20W、プレート寸法;φ24mm×t12mm、真空雰囲気用途

(図-8)(図-9)

c.少流量のガス加熱器
概要仕様:200V
200W、ガス流量:10~20リットル/min、出口温度:約200℃

(図-10)

通常、この細さになるとヒーター業界では、マイクロヒーターと呼ばれる、Sheathの中の発熱線が1本の直状のヒーターが主流です。
一方、新熱工業のφ1.8mmシーズヒーターは、この細さで、内部の発熱線が、普通のシーズヒーター同様に、きちんとコイル状に巻かれた発熱線が、入っています。

(図-11)マイクロヒーターの断面図、(図-12)シーズヒーターの断面図

マイクロヒーターもシーズ(Sheath)ヒーターの仲間です。
新熱工業のφ1.8mmシーズヒータに外径的に対応するマイクロヒーターの一般的な外径には、φ1.0、φ1.6、φ2.3(マイクロヒーターのメーカーにより若干の違いはあります。)等が相当します。
マイクロヒーター、シーズヒーターそれぞれの特徴と設置場所等を考慮して、適したヒーターを選定する必要があります。

図-13にφ1.8シーズヒーターとφ3.2マイクロヒーターのX線写真を示します。

(図-13)X線写真

 

マイクロヒーターとシーズヒーターの違いを下表(表-2)に示します。

ヒーター区分 抵抗値 発熱範囲 特徴
細径シーズヒーター

内部X線写真
コイリングした発熱線を使用しているため、任意の抵抗値が設定できます。ヒーターの外径、長さが同一でも異なる容量のヒーターが製作できます。 シースの中に発熱部と非発熱部があるので、不要な部分が加熱されることが無いです。 色々な抵抗値の製品が作れますので、商用電源(100V、200V等)のままで任意の長さのヒーターが製作可能です。
マイクロヒーター

内部X線写真
発熱線径がヒーターの外径毎に固定されていますので、ヒーター長さと外径で抵抗値が決まってしまいます。 ヒーター全長が発熱部となります。不要な部分が高温になる場合があります。 長い(数十メートル)ヒーターが製作可能です。プラントの配管やバルブ等に長いヒーターを施工する場合に向いています。

 

6.次に、スーパーフラットヒーターのご紹介です。

こちらも新熱工業お勧めの独自な特殊ヒーターです。
幅24.1mm×厚さ6.9mmの平板状の断面のヒーターです。寸法は、1種類です。
主に、コンビニエンス向けのフライヤー用途で多く使われています。
その断面形状から、揚げ物のカスが付きにくく、メインテナンスが丸いヒーターより容易で、かつ、油の劣化が少ないというような利点があります。
丸いヒーターと同じく、Sheath付きで、シーズヒータータイプとカートリッジヒータータイプの2種類があります。

下図(図-13シーズヒータータイプ、図-14カートリッジヒータータイプ)にその写真を示します。

(図-14)シーズヒータータイプ
(図-15)カートリッジヒータータイプ

写真をご覧になって判ると思いますが、このスーパーフラットヒーターにも新熱工業のヒーター曲げ技術が、大きく貢献しています。